病院長あいさつ

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公立学校共済組合 近畿中央病院

病院長甲村 英二

令和8年3月末での診療休止のお知らせ

 

    •  近畿中央病院では、昭和63年に建築された病棟をはじめとする施設の老朽化等により、平成25年から独自に建て替えを検討し、当地での建て替え計画を策定しておりました。平成31年には、伊丹市より同じく老朽化が進んでいた市立伊丹病院と近畿中央病院の統合に関する協議提案を受け、統合検討会議を重ねたのち、令和24月に市立伊丹病院と公立学校共済組合近畿中央病院との統合に関する基本協定書が締結されました。そこでは令和7年度の統合を目指すこととされておりました。その後、統合新病院の設計が進められ、建設工事の入札が令和43月に実施されましたが、入札は不調に終わりました。令和410月の再入札も不調となり、令和52月に3回目の入札が行われ、ようやく落札されました。これら一連の入札不調により、統合新病院の開院時期は当初予定より約1年遅れ、令和88月とされました。令和5年春より、市立伊丹病院敷地内での建て替え工事が開始されましたが、同病院の新病棟(西棟)建設地から想定を大幅に上回る土壌汚染が明らかとなり、大規模な対策工事が必要となりました。このため、統合新病院の開院時期はさらに遅れ、令和9年度後半になることが、令和71月に公表されました。
    •  近年、医療材料費や給与費などの増加に対し、診療報酬改定が追いついておらず、全国的に病院経営はコロナ禍以降急速に悪化しており、当院も例外ではありません。さらに、近畿中央病院では統合を控えていることもあり、患者数の減少も加わって経常赤字が急増しております。これまで当院では、様々な設備・機器の老朽化が進む中、当初想定された統合新病院の開院時期である令和7年度まで、また入札遅延後は令和8年夏までを想定して、維持運営をしてきたところです。電子カルテも通常の更新時期をすでに超えており、現在10年目に入っております。第三者保守によりサーバーメンテナンスを行っておりますが、これも限界に近づいております。この先も23年間の安定稼働を得るためには更新が不可欠であり、10億円以上もの高額な費用が必要です。また、統合が目前にあることから、その他の医療機器や施設の補修も必要最低限にとどめておりましたが、今後も運営を継続するためには、数億円規模の追加整備が必要となります。当院には自治体病院のような一般会計からの繰り入れはなく、コロナ関連補助金もすでに終了しており、令和6年度の補助金収入は3,000万円程度に過ぎません。令和6年度には手持ち資金も減少し、残り少ない状況です。土壌汚染による新病院完成の遅延に伴い、今後23年間、現在の形態で病院の安定運営を継続し、安全・安心な医療を提供するためには、病院施設の維持・整備費および運転資金をあわせて、莫大な資金が必要となる見込みです。
    •  土壌汚染問題が明らかになって以降、公立学校共済組合本部は伊丹市との間で、財政支援や当初の予定時期での統合なども含めて交渉を行ってまいりましたが、好ましい回答を得ることができませんでした。 こうした設備的・財政的事情を総合的に判断し、公立学校共済組合本部は、令和8年3月末をもって近畿中央病院を診療休止とすることを決定いたしました。
    •  これまで、予定された統合新病院の完成時期まで当院の運営を継続することをお伝えしてまいりましたが、完成時期が大幅に先送りされたことで、設備・財政の両面から運営継続が極めて困難となり、やむを得ず診療休止の決定に至りましたことに地域の皆様にはご理解を賜りますようお願い申し上げます。土壌汚染による新病院完成の遅延は、当院に起因するものではございませんが、完成時期まで診療を継続できないことにより、地域の皆様には多大なご迷惑をおかけすることとなり、誠に申し訳ございません。心よりお詫び申し上げます。当院としましては、今後も可能な限り診療体制を維持する所存です。診療休止に伴い、必要な患者様の紹介については、ご希望にできる限り沿った形で対応してまいります。令和83月の診療休止後の対応につきましては、関係諸機関との調整を行い、早急に決定いたします。跡地利用については、引き続き共済組合本部にて検討されます。なお、当院職員につきましては、共済組合本部により就労確保に向けた対応がとられます。
    •  繰り返しになりますが、現在の診療体制を可能な限り維持してまいりますので、引き続きのご支援をお願い申し上げます。

 

令和7年5月30日

病院長 甲村英二

 

(※診療休止にかかる公立学校共済組合のお知らせはこちらをご覧ください。)

病院長 甲村英二(こうむらえいじ)プロフィール

1979年
大阪大学医学部卒業
1984年
西ドイツハノーバー市Nordstadt病院留学(~1987年)
2000年
大阪大学脳神経外科学助教授
2002年
神戸大学脳神経外科学教授
2020年
公立学校共済組合近畿中央病院病院長
医学博士、日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳卒中の外科学会技術指導医
公立学校共済組合 日本医療機能評価認定病院 人間ドック学会健診施設 機能評価認定施設
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